クリニックで処方されるAGAの薬を服用している場合、子作りしても大丈夫なのでしょうか? 注意点を知っておきましょう。
目次
AGAの薬が子作りに与える影響
日本皮膚科学会が発表した「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」に記載された、医学的な注意点をまとめます。男女で影響が異なるのが特徴です。
- 妊婦や授乳中の女性は、フィナステリド、デュタステリドを飲んではいけない。
- 男性が飲んでいる分には、子作りに影響なし。
- ただし服用中は献血禁止。前立腺がん検診にも影響あり。
妊婦や授乳中の女性は、フィナステリド、デュタステリドを飲んではいけない。
そもそもフィナステリド、デュタステリドは、女性にとって薄毛改善の効果はありません。それだけでなく、女性にとっては有害でもあります。
- 妊婦や授乳中の女性がフィナステリド、デュタステリドを服用
↓
- 体内のジヒドロテストステロン(AGAの原因)が低下
↓
- 男子胎児の生殖器官等の正常発育に影響を及ぼす恐れ
投薬試験でこのような結果が出ているため、日本皮膚科学会のガイドラインでは、 フィナステリドとデュタステリドの推奨度を、男女で正反対の判定にしています。
フィナステリド |
デュタステリド | |
女性型脱毛症 | 推奨度 D:行うべきではない | 推奨度 D:行うべきではない |
男性型脱毛症 | 推奨度 A:行うよう強く勧める | 推奨度 A:行うよう強く勧める |
もちろんAGAの専門医が誤った処方をするとは考えにくいですが、この点からも、薬の個人輸入は大変危険ということが言えます。
子作りだけでなく、健康への影響を考えると、AGAの専門クリニックで処方してもらい、医師の管理のもと、用法用量を守って服用することが安全なのは言うまでもありません。
男性が飲んでいる分には、子作りに影響なし
一方、男性にとっては、ガイドラインの推奨度Aが示すとおり、子作りに関しては影響は認められていません。
また、投薬試験では、フィナステリドを服用中の男性が「男性機能の低下」、「性欲減退」を訴えた症例がごくわずかにありましたが、いずれも日常生活に大きな支障をきたすものではなく、「自覚症状」にとどまるものでした。
その理由は、フィナステリドがAGAの原因であるジヒドロテストステロンを減らすのであって、性欲に関与するテストステロンを減らす作用は無いためです。
たたし、献血は禁止。前立腺がん検診にも影響あり
男性にも注意していただきたいことがあります。
フィナステリド、デュタステリド服用中の注意点
- 献血は禁止
- 前立腺がん検診の結果数値がブレる
献血が禁止なのは、妊婦へ輸血された場合、胎児の発育に悪影響を及ぼす恐れが有るためです。
また、前立腺癌のマーカーである血清PSA濃度が約50%低下するため、服用中はマーカーの値を2倍しないと正常な評価ができなくなります。検査前には、服用していることを医師に伝えることが必要です。
AGAの薬を飲んでいると健康診断に引っかかる?
まとめ
フィナステリド、デュタステリドの服用に際し、男性は献血をしてはいけない、女性は服用自体禁止、になっています。
- 妊婦や授乳中の女性は、フィナステリド、デュタステリドを飲んではいけない。
- 男性が飲んでいる分には、子作りに影響なし。(生殖能力にも影響なし)
- 服用中は献血禁止。前立腺がん検診のマーカー値は半減。
大前提として、薬の服用は専門医の指導の元、用法用量を守るのが基本です。
【参考資料】
日本皮膚科学会「男性型及び女性型脱毛症診療ガイドライン」
板見智「専門医が語る毛髪科学最前線」集英社新書